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イソプロピルアルコール(IPA)のSDS|義務対象か・裾切値0.1%・収載名は「プロピルアルコール」

訂正(2026-09-04): 本記事は従来「IPAは現行では対象外で、2027年4月1日に義務対象へ追加される」と記載していましたが、厚生労働省の対象物質一覧の再確認により誤りと判明したため訂正しました。IPAは収載名「プロピルアルコール」(アルキル基の異性体を含む)として現行から義務対象です。

洗浄・脱脂・工業用消毒・印刷の湿し水——IPA(イソプロピルアルコール、CAS 67-63-0)は、現場で最も身近な溶剤の一つです。そして一覧を「イソプロピルアルコール」で検索しても出てこないために、該否を取り違えやすい物質でもあります。

IPAのSDS(書類そのもの)をお探しの方へ:製品のSDSは、購入先(販売店・商社・メーカー)に請求するのが最短です(請求文テンプレ付きの入手方法)。単一物質としての参考資料は、厚生労働省「職場のあんぜんサイト」のイソプロピルアルコールのモデルSDSが公開されています(製品ごとのSDSの代わりにはなりません)。以下は、そのSDSを受け取った側の「義務の対象か」の整理です。

結論:現行のラベル表示・SDS交付義務の対象です

厚生労働省の義務対象物質一覧(令和7年4月1日施行版)に、次の行があります。

一覧の項目記載内容
名称プロピルアルコール
英語名称Propyl alcohol
CAS RN *171-23-8, 67-63-0
ラベル表示に係る裾切値1%
SDS交付等に係る裾切値0.1%
備考*3/アルキル基の異性体を含む。

一覧の凡例には、こうあります。

※3 アルキル基を有する物質のうち、備考欄に「アルキル基の異性体を含む」と記載した物質については、アルキル基の異性体を含む。その他のアルキル基を有する物質については、構造を示す接頭辞がない場合は直鎖アルキル基のみを指す。

プロピル基の異性体は、ノルマルプロピル(1-プロパノール・CAS 71-23-8)とイソプロピル(2-プロパノール=IPA・CAS 67-63-0)です。CAS RN欄にも両方が併記されています。つまりIPAは、収載名「プロピルアルコール」の行として現行から義務対象です。

備考の*3は「令和7年3月31日以前からラベル表示・SDS交付等の義務対象物質となっている物」を示す脚注です。新しく追加された物質ではなく、以前から対象でした。

なぜ「対象外」と誤読されるのか

条件が3つ重なっています。ここは手作業照合の落とし穴がそのまま出た実例です。

  1. 一覧に「イソプロピルアルコール」という名前が無い——SDSの3項でよく使われる「イソプロピルアルコール」「イソプロパノール」「2-プロパノール」のどれで名称欄を検索してもヒットしません
  2. 収載名が異性体をまとめた名前になっている——法令上の名称は「プロピルアルコール」で、これ単体を見てもイソ体が入るかは読み取れません
  3. 異性体を含むことは、備考欄と凡例をセットで読まないと確定しない——備考の「アルキル基の異性体を含む。」を見つけても、その意味は末尾の凡例※3まで戻らないと分かりません

CAS番号(67-63-0)で検索すれば、この行は見つかります。CAS RN欄に併記されているためです。ただし一覧の脚注*1は「CAS番号は法令では規定しないが、参考として示すもの。なお、構造異性体等が存在する場合、異なるCAS番号が割り振られることがあるが、ラベル表示・SDS交付等の義務対象物質の当否の判断は物質名で行う」としています。CASは手がかり、決めるのは名称、という順序です。

同じ構造の収載は他にもあります(「ヘキサン」「酢酸ブチル」「ブタノール」「ペンタン」など、備考に同じ一文が付いた行)。慣用名で引いて出てこないことは、対象外の根拠になりません(手作業での照合手順と落とし穴)。

IPAにかかっている規制(現在)

制度現在の扱い
労働安全衛生法のラベル表示・SDS交付義務対象(収載名「プロピルアルコール」・SDS交付等の裾切値0.1%/ラベル表示1%)
リスクアセスメント義務対象(同上)
有機溶剤中毒予防規則(有機則)対象(第2種有機溶剤等)——設備・作業管理等の義務
消防法危険物該当が一般的(引火性の高いアルコール類。最終確認はSDSの項目9・項目15)

「有機則と消防法では規制対象だが、SDSの義務対象リストには載っていない」という整理は誤りでした。4つとも現在かかっています。二重・三重の管理になるため、根拠となる制度ごとに何をするかを切り分けておくのが実務です(消防法の危険物とSDS義務対象の違い)。

裾切値0.1%の意味

裾切値は「この含有量以上なら義務がかかる」下限です。IPAはSDS交付等が0.1%、ラベル表示が1%で、同じ物質でも義務ごとに値が違います。SDS交付の該否を見るときはSDS交付側の列を使ってください。

0.1%は1,000ppmです。IPA配合の洗浄剤・湿し水原液・拭き取り剤は数%から数十%の配合が普通で、実務上はほぼ裾切値を超えます。「微量だから対象外」と言えるのは0.1%未満のときだけです。SDSの3項が「10〜20%」のような範囲表記なら、上限側で見るのが安全側の読み方です(3項の読み方)。

IPAはどこに潜んでいるか

純IPAのボトルだけ探しても棚卸しは終わりません。配合物が本命です。

SDSの項目3には「2-プロパノール」「イソプロパノール」「イソプロピルアルコール」のいずれかの表記で載っています。名前の揺れに注意してください(すべて同じ物質・CAS 67-63-0です)。

診断ツールではどう出るか

SDScanは収載名だけでなく、CAS番号と別名・慣用名でも照合します。実際の判定は次のとおりです。

「名前で引くと外れるが、CASと別名なら当たる」型の物質を機械側で拾うのが、この照合の主な役目です。

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自社で判断しづらいSDSは、先行期間(10月31日まで)は3製品まで無料でこちらで確認します。info@sdscan.jpにPDFを添付してお送りください(PDF化がむずかしい場合は製品名を一言でも構いません)。この確認は判定と同じ情報提供であり、法令適合の保証や法的助言ではありません。

今やること

施行を待つ話ではなく、現在かかっている義務への対応です。

  1. IPA含有製品の棚卸し——純IPA・配合洗浄剤・湿し水原液・拭き取り剤を台帳に品番単位で載せる
  2. 含有率の確認——SDSの項目3で各製品のIPA含有率を記録し、0.1%と比較する
  3. SDSの入手・最新版確認——義務対象物質を裾切値以上含む製品には供給者側に交付義務があります(請求文テンプレ)
  4. リスクアセスメントの実施と記録——有機則で管理してきた事業場なら作業実態の情報は揃っているはずです(CREATE-SIMPLE等での見積り・記録の書き方)
  5. 小分け容器の表示——ポリ容器等に移し替えて保管しているなら名称と人体に及ぼす作用の明示が必要です
  6. 確認日とリストの版を残す——対象物質リストは2027年4月・2028年4月にも追加が公布済みです(追加分の中身)

なお「アルキル基の異性体を含む」が自社製品の個々の成分にどう及ぶかの最終判断は、貴社の化学物質管理者または有資格の専門家にご確認ください。本記事は一覧の記載を整理したものです。

よくある質問

Q. 一覧に「イソプロピルアルコール」が無いのに対象なの? A. 収載名は「プロピルアルコール」です。備考「アルキル基の異性体を含む」と凡例※3により、イソ体(CAS 67-63-0)を含みます。

Q. 何%から義務? A. SDS交付等は0.1%以上、ラベル表示は1%以上です(令和7年4月1日施行版)。

Q. 有機則で管理済みなら足りる? A. 足りません。有機則の義務に加えて、ラベル表示・SDS交付・リスクアセスメントの義務も現在かかっています。

まとめ


参考(一次情報)

※本記事は情報提供であり、法令適合を保証するものではありません。裾切値・適用範囲の詳細は官報・厚生労働省の一次資料で確認し、最終判断は貴社の化学物質管理者・有資格の専門家にご確認ください。

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最終更新日:2026-09-10