2027年4月、SDS義務対象はさらに追加——IPAなど「現場の定番」が対象になる前にやること
2026年4月の改正対応を終えて一息、という事業者の方に、先にお伝えしたいことがあります。義務対象物質の追加はまだ続きます。 次の節目は2027年(令和9年)4月1日です。
この記事では、2027年追加の概要と、「今は対象外」の製品が対象化する仕組み、そして今のうちにやっておくと楽になる準備を解説します。
対象物質の拡大はまだ終わっていない
ラベル表示・SDS交付・リスクアセスメントの義務対象物質は、674物質の時代から段階的に拡大してきました。
- 2024年4月:234物質を追加
- 2025年4月・2026年4月:段階追加で約2,900物質規模へ
- 2027年4月:さらに約1,550物質規模の追加が公布済み
- 将来:国のGHS分類で危険性・有害性が確認された全物質へ拡大する方向が法改正で決定済み
つまり「うちの製品は対象外だった」という確認結果には、有効期限があります。製品の成分が変わらなくても、リスト側が毎年のように変わるからです。
象徴的な例:イソプロピルアルコール(IPA)
2027年追加の象徴的な例が、**イソプロピルアルコール(IPA、CAS 67-63-0)**です。
IPAは、アルコール系洗浄剤・消毒・拭き取りと、製造業のあらゆる現場で使われる定番中の定番です。現行の義務対象リストには含まれていませんが、2027年4月1日から表示・通知の義務対象に追加されます(安衛則別表第2)。
「よく使う・昔からある・規制の話を聞いたことがない」——そんな身近な化学品が、ある日を境に義務対象になる。これが現在のリスト拡大の実像です。IPAについては有機則・消防法まで含めた規制の全体整理を、IPAを含む洗浄剤をお使いの方は洗浄剤の該否確認ガイドもあわせてどうぞ。
「今は対象外」の製品に、今やっておくべきこと
2027年を待ってから慌てるより、今のうちに次の3ステップを済ませておくと、施行時の作業が「差分確認だけ」になります。
ステップ1:全化学品のSDSを揃え、成分・CAS番号を台帳化する
品番ごとに最新版SDSを入手し、「3. 組成及び成分情報」の成分名・CAS番号・含有量を一覧にします。SDSのどこを見るかは3項の読み方ガイドにまとめています。
ステップ2:現時点の該否を照合し、「いつのリストで確認したか」を記録する
現行リストとの照合結果に、確認日とリストの版を添えて記録します。これがないと、リスト更新のたびにゼロから確認し直すことになります。
ステップ3:リスト更新時の再照合を、担当と時期を決めて仕組みにする
2027年4月の施行前後に、台帳とリストの差分を照合し直します。台帳(ステップ1)ができていれば、この作業は数時間で終わります。
なお、SDScanの無料診断は、SDSをアップするだけで成分の照合を自動で行います。判定は最新の義務対象リスト(現在約2,300物質収載)に追従して更新しているため、「手元のSDSが今のリストでどう判定されるか」をその場で確認できます。
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よくある質問
Q. 今は対象外の製品なら、2027年まで何もしなくていいですか? A. 義務としてはそうですが、施行直前はSDSの改訂版入手や問い合わせが集中します。今のうちの台帳化をおすすめします。GHS分類で危険有害性のある物質には、対象外でもリスクアセスメントの努力義務があります。
Q. IPAは有機溶剤の規則で管理しています。別の話ですか? A. 別の枠組みです。既存の特別規則の義務は従来どおり、それに加えて2027年4月から表示・通知の義務対象に追加される予定です。
Q. 2026年対応したばかりなのに、また確認し直すのですか? A. はい、それがこの規制の構造です。「一度確認して終わり」ではなく、「リスト更新のたびに差分照合する」運用が前提になります。
まとめ
- 義務対象物質の追加は2026年で終わりではなく、2027年4月に約1,550物質規模の追加が控えている
- **IPA(イソプロピルアルコール)**のような現場の定番も2027年追加組
- 該否の確認結果には有効期限がある——製品が変わらなくても、リストが変わる
- 今やるべきは成分・CAS番号の台帳化。できていれば、施行時の対応は差分確認だけで済む
参考(一次情報)
- 厚生労働省「職場のあんぜんサイト」:表示・通知対象物質の一覧・検索
- 厚生労働省:労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(令和5年政令第265号)ほか関連告示
※本記事は情報提供であり、法令適合を保証するものではありません。施行日・対象物質の最終確認は一次情報で行い、判断は貴社の化学物質管理者または有資格の専門家にご確認ください。