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SDSの義務対象物質を手作業で確認する方法【厚労省リスト活用】

SDSに載っている成分が労働安全衛生法の義務対象(ラベル表示・SDS交付・リスクアセスメント)かどうかの照合は、無料の公的データだけで、手作業でもできます。この記事はその完全手順です。あわせて、実際にやるとどれくらい時間がかかるかの試算と、つまずきやすいポイントを整理します。

先に全体像:使うのは厚生労働省が公開している対象物質の一覧(Excel)。SDSの「3. 組成及び成分情報」から成分を書き出し、1成分ずつ一覧と突き合わせます。原理は単純ですが、時間を食うのは例外系——CAS検索だけでは判断できない群名称の行が137行あり、ここの判断が手作業の最大の難所になります。

手順(5ステップ)

① 厚労省の対象物質一覧(Excel)を入手する

職場のあんぜんサイトの一覧ページから無料でダウンロードできます。施行年別にシートが分かれているので、確認したい時点の施行版を使います(2026年8月時点の照合なら2026年4月施行版)。

このExcelで注意する点が2つ:

Excelの扱いが苦手な場合は、同じ一覧を検索できる形にした全物質の一覧(無料・検索可)でも確認できます。

② SDSの3項から成分・CAS番号・含有量を書き出す

該否判定の材料は成分名・CAS番号・含有量の3点セットです。SDSの「3. 組成及び成分情報」にまとまっています(3項の読み方はこちら)。混合物は成分ごとに行を分けて書き出します。

③ 成分ごとにExcelでCAS番号を検索する

Ctrl+F(検索)にCAS番号を入れて一覧を検索します。検索の前に、①で選んだ施行版のシートを開いているか確認してください(Excelの検索は開いているシートだけが対象です)。CAS番号はハイフン込みの半角で入力し、ヒットしないときは全角・ハイフン無しの書式揺れも試してから⑤に進みます。ヒットしたら、その行の裾切値(SDS交付)を読みます。裾切値はほとんどの物質で0.1%または1%のどちらかです。なお、ヒットした行が「〜及びその化合物」のような群名称の行だった場合、そこに書かれたCASは参考値なので、そのまま確定とせず⑤の名称での判断に進みます。

④ 含有量と裾切値を比較して判定・記録する

SDSの含有量が裾切値以上なら義務対象です。含有量が「10〜20%」のような範囲表記のときは、上限側で判定するのが安全側の運用です。判定結果は、確認日と「どの版のリストで確認したか」をセットで管理台帳に記録します。リストは毎年のように更新されるため、版の記録がないと更新のたびにゼロからやり直しになります。

⑤ 群名称の行に当たるかを名称で判断する(ここが本丸)

CAS検索でヒットしなくても、対象外とは限りません。一覧にはCAS番号が単一に定まらない「群名称」の行が137行あります(当サイト集計)。「ニッケル化合物」「クロム酸及びクロム酸塩並びに重クロム酸及び重クロム酸塩」「鉛及びその無機化合物」のような書き方の行です。

この137行は、CAS検索に対する出方が2種類に分かれます。

どちらの場合も、最後は名称で判断することになります。

成分が「硫酸ニッケル」なら「ニッケル化合物」の行に該当する——という判断を、成分名と、どの「〜化合物」の群に属するかの知識で行う必要があります。別名・表記揺れ(同じ物質でも和名が違う)も同じ種類の落とし穴です。手作業の照合で漏れが出るのは、ほぼこの例外系です。

所要時間の試算

以下はあくまで一例の試算です(成分数・慣れ・SDSの書き方で大きく変わります)。

作業時間の目安
3項の読み取り・成分の書き出し(1枚あたり)5〜10分
CAS検索→裾切値確認→判定・転記(スムーズな1成分)2〜3分
群名称・別名の判断が必要な1成分5〜10分
SDS 1枚(成分5〜8種・うち群名称/別名の判断が1〜2成分の場合)20〜40分

なお、検索そのものは速いです。CAS番号1件のCtrl+Fは10秒もかかりません。この試算で時間を食っているのは検索の前後です:3項の読み取り(PDFの体裁は製品ごとにバラバラ)、含有量と裾切値の比較、台帳への転記(判定・確認日・リストの版)、そして⑤の例外系。記録を残さず検索だけを流す「速攻チェック」なら1枚5〜10分程度まで縮みますが、それは後述の落とし穴(群名称の素通り・版の記録なし)をまとめて踏むコースで、確認した記録が残らないためリスト更新のたびにゼロからやり直しになります。この試算は「あとから説明できる状態を残す」前提の時間です。

例えば手元のSDSが50枚なら、単純計算で約17〜33時間、2〜4営業日分の作業量です。しかもこれは初回の話で、リストは毎年のように更新され、2027年4月に151物質・2028年4月に36物質の追加が公布済みです。更新のたびに、台帳との差分照合が発生します。

手作業チェックの落とし穴6つ

同じ照合を自動化する選択肢

ここまでの手順のうち、①〜④(成分×CAS×裾切値の照合。正式名称・別名の表記揺れ対応を含む)を自動化したのがSDScanの無料診断です。SDSのPDFをアップすると数十秒で🔴🟡🟢の一覧になります(登録不要)。なお、4MBを超えるPDFや、レイアウトによっては読み取れないものもあります。

⑤の群名称については、診断は該当しそうな行を🟡で候補提示するところまでを行います(例:成分名が「硫酸ニッケル」なら「ニッケル化合物」を候補として挙げる)。ただし該当するかどうかの最終判断は自動化できていません。とくに「水溶性のものに限る」「無機化合物に限る」と条件がついた行は、その成分が条件を満たすかの判断が必要です(硫酸バリウムは水に溶けないため「バリウム及びその水溶性化合物」には当たらない、といった判断)。候補が挙がった成分について、本記事⑤の考え方でご確認ください。

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PDFをドラッグ&ドロップするだけ。登録不要で試せます(無料は月3件まで)。

自社で判断しづらいSDSは、先行期間(10月31日まで)は3製品まで無料でこちらで確認します。info@sdscan.jpにPDFを添付してお送りください(PDF化がむずかしい場合は製品名を一言でも構いません)。この確認は判定と同じ情報提供であり、法令適合の保証や法的助言ではありません。

よくある質問

Q. 対象物質の一覧はどこで手に入りますか? A. 職場のあんぜんサイトで無料公開されています(Excel形式)。裾切値はSDS交付側の列を使ってください。

Q. CAS番号で検索してヒットしなければ対象外と考えていいですか? A. いけません。群名称の行137行のうち52行はCAS欄が空欄で検索に出ず、残り85行の併記CASは参考値です(該否は物質名で判断すると一覧の脚注にあります)。名称・化学族での判断が必要です。

Q. 一度照合すれば終わりですか? A. 終わりません。リストは毎年のように更新され、2027年4月には大規模追加が控えています。差分照合を毎年の仕組みにする必要があります。

まとめ


参考(一次情報)

※本記事は情報提供であり、法令適合を保証するものではありません。所要時間の試算は当サイトによる一例であり、実際の作業時間を保証するものではありません。最終判断は貴社の化学物質管理者または有資格の専門家にご確認ください。

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最終更新日:2026-09-04