SDSが手に入らない・検索しても出てこないときの入手方法5つ【請求文テンプレ付き】
「SDSを確認してください」と言われても、そもそも手元にSDSがない——化学物質管理の実務は、実はここでつまずくことが一番多いのです。検索しても古い「MSDS」のページばかり出てくる、メーカーサイトに見当たらない、購入先が個人商店で頼みにくい……。
この記事では、SDSの正しい入手ルートを確実な順に5つ、そのまま使える請求文テンプレートと一緒に紹介します。
前提:SDSは「探す」より「もらう」もの
まず大事な前提です。労働安全衛生法の義務対象物質を含む化学品を譲渡・提供する側には、SDSを交付する義務があります。つまり買った側にとってSDSは、ネットで頑張って探すものではなく、購入ルートに請求すれば出てくるはずのものです。検索で見つからなくても諦める必要はありません。
なお「MSDS」は旧称で、現在は「SDS」に統一されています(2012年のJIS改正)。MSDSで検索して情報が古いと感じたら、SDSで探し直してください。
入手方法5つ(確実な順)
① 購入先(販売店・商社)に請求する——正攻法
最も確実です。品番ごとに、最新版を、日本語で請求します。そのまま使える文例:
(購入先)ご担当者さま
いつもお世話になっております。
労働安全衛生法改正に伴う社内の化学物質管理のため、
下記製品の最新版SDS(日本語)をお送りいただけますでしょうか。
PDFでのご送付で結構です。
・製品名:〇〇〇〇
・型番/グレード:〇〇〇
・購入時期:〇年〇月頃
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
ポイントは「最新版」と明記すること。手元に古いSDSがあっても、2024年以降の義務対象物質の追加が反映されていない可能性が高いためです(対象物質は毎年のように増えています)。
② メーカー公式サイトのSDSダウンロードページ
急ぎの場合はこちら。大手メーカーの多くは製品サイトでSDSを公開しています。「メーカー名 製品名 SDS」で検索し、**型番と版(改訂日)**が合っているかを確認してください。よくある失敗は、同名ブランドの別グレードのSDSを取ってしまうことです。
③ 職場のあんぜんサイト(厚生労働省)——ただし用途に注意
厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」には物質ごとのGHS分類情報・モデルSDSがあります。ただしこれは物質単位の参考情報で、お使いの製品(混合物)のSDSの代わりにはなりません。「この物質がどんな危険有害性か」を知る補助資料として使い、製品の該否判定は製品のSDSで行ってください。
④ 輸入品:輸入元に日本語版を請求する
国内で譲渡・提供される化学品は日本語SDSが原則です(JIS Z 7253)。海外製品でも、輸入・販売した事業者に請求できます。英語版しか出てこない場合も、CAS番号での照合は可能なので、当座の確認はできます(SDSの3項の読み方)。
⑤ どうしても入手できないとき
督促しても出てこない製品は、SDSなし=リスクアセスメント不能の状態が続くということです。長期化するなら、SDSを整備している同種製品への切り替えを検討する方が安全側です。「SDSがすぐ出てくるか」は、サプライヤーの管理品質を測るリトマス紙でもあります。
入手したら:3項を見て、リストと照合する
SDSが届いたら、見るのは「3. 組成及び成分情報」です(どこを見るかの解説)。成分名・CAS番号を義務対象物質の一覧(全物質・検索可)と照合し、含有量を裾切値と比較すれば該否の目安がつきます。
なお、この照合を自動でやるのがSDScanの無料診断です。届いたSDSのPDFをアップするだけで、対象の可能性を🔴🟡🟢で一覧できます。
PDFをドラッグ&ドロップするだけ。登録不要で試せます。
よくある質問
Q. MSDSとSDSは違うものですか? A. 同じものです。2012年のJIS改正で名称がSDSに統一されました。検索は「SDS」で。
Q. 販売店に「ホームページから落として」と言われました。 A. メーカー公開版で問題ありません。型番・グレードと版(改訂日)の一致だけ確認を。
Q. 何度頼んでも出てきません。 A. SDSなしはリスクアセスメント不能が続く状態です。督促しても駄目なら、SDSが整備された同種製品への切り替え検討が安全側です。
まとめ
- SDSは「探す」より「購入ルートにもらう」——供給側に交付義務がある
- 請求時は「最新版・日本語・品番指定」(テンプレをどうぞ)
- 公的サイトのモデルSDSは物質単位の参考情報。製品の該否判定は製品のSDSで
- 入手できない製品は、それ自体が管理上のリスクシグナル
参考(一次情報)
- 厚生労働省「職場のあんぜんサイト」:表示・通知対象物質の一覧・検索
- JIS Z 7253(GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法)
※本記事は情報提供であり、法令適合を保証するものではありません。最終判断は貴社の化学物質管理者または有資格の専門家にご確認ください。