イソシアネート(TDI・MDI・HDI)の規制まとめ — 2液ウレタンの硬化剤は要チェック
2液ウレタン塗料、ウレタン系接着剤、シーリング材、発泡ウレタン——これらの「硬化剤」側に入っているのがイソシアネート類です。
この物質群が厄介なのは、主剤のSDSだけ確認して「該当なし」で安心してしまう事故が起きやすいこと。イソシアネートは硬化剤側にいます。そして、代表的なTDI・MDI・HDIはいずれも労働安全衛生法のラベル・SDS・リスクアセスメント義務の対象です。
イソシアネート(硬化剤)のSDS(書類そのもの)をお探しの方へ:2液ウレタンは主剤と硬化剤で別のSDSです。硬化剤の品番を指定して、購入先(販売店・商社・メーカー)に請求するのが最短です(請求文テンプレ付きの入手方法)。単一物質としての参考資料は、厚生労働省「職場のあんぜんサイト」のモデルSDS(TDI・MDI)が公開されています(製品ごとのSDSの代わりにはなりません)。以下は、そのSDSを受け取った側の「どの規制がかかるか」の整理です。
代表3物質と裾切値
| 物質 | 略称 | 主な用途 | SDS交付の裾切値 |
|---|---|---|---|
| トリレンジイソシアネート | TDI | 軟質ウレタンフォーム、塗料硬化剤 | 0.1% |
| 1,1’-メチレンビス(イソシアナトベンゼン) | MDI | 接着剤、硬質フォーム、シーリング | 0.1% |
| ヘキサメチレン=ジイソシアネート | HDI | 2液ウレタン塗料の硬化剤(耐候性) | 0.1% |
出典: 厚生労働省 労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付等の義務対象物質一覧。裾切値はSDS交付等に係る値。
ポイントは裾切値が0.1%と低いこと。「硬化剤の主成分」としてだけでなく、少量の添加でも対象になりやすい水準です。なお義務対象のイソシアネート類はこの3つだけではなく、IPDI(イソホロンジイソシアネート系)やフェニルイソシアネートなども収載されています。手元の成分名は全物質の検索一覧で引けます。
2027年4月1日からの追加(公布済み): ポリメリックMDI(収載名「アルファ-(イソシアナトベンジル)-オメガ-(イソシアナトフェニル)ポリ[(イソシアナトフェニレン)メチレン]」・CAS 9016-87-9 / 32055-14-4・SDS裾切値0.1%)が、令和7年政令第35号により2027年4月1日から義務対象に追加されます。硬質ウレタンフォームや接着剤の硬化剤に多い成分で、現行のMDI(モノマー)とは別の収載行です。施行日まで義務はありませんが、硬化剤SDSに「ポリメリックMDI」「ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート」とあれば、2027年以降の再確認対象として台帳に印を付けておくと再照合が楽です(2027年・2028年の追加一覧)。
なぜ規制が厳しいのか:感作性(ぜんそく)
イソシアネート類は、呼吸器感作性——繰り返しばく露するうちにアレルギー性のぜんそくを起こす性質——で知られる物質群です。一度感作が成立すると、ごく低濃度のばく露でも発作が出るようになり、その作業を続けられなくなることがあります。
「今日吸っても何ともなかった」が通用しないタイプのリスクなので、濃度が薄くても、ばく露を積み重ねない管理(換気・保護具・作業方法)が重視されます。スプレー塗装のようにミストが発生する工程は特に注意が必要です。
見落としの定番2つ
1. 硬化剤側のSDSを入手していない
2液型製品は主剤と硬化剤で別々のSDSが発行されます。購入時に主剤のSDSしか受け取っていないケースは珍しくありません。台帳には主剤・硬化剤を別の行として登録し、硬化剤のSDSがなければ購入先に請求してください。
2. 「ポリイソシアネート」「プレポリマー」表記の罠
硬化剤のSDSに「TDI」と書かれておらず、「ポリイソシアネート」「ウレタンプレポリマー」とだけ書かれていることがあります。これで対象外と判断するのは早い——未反応の残存モノマーが0.1%以上含まれていれば、その成分は義務対象です。SDSの項目3に「残存TDI <0.5%」のような記載がないか確認してください(3項の読み方)。
実務の手順:この順で確認する
- 2液型・ウレタン系の製品を台帳から洗い出す(塗料・接着剤・シーリング・発泡剤)
- 硬化剤側のSDSが揃っているか確認、なければ請求
- 項目3で成分・CAS番号・含有率を確認(プレポリマー製品は残存モノマーの行に注目)
- 義務対象リストと照合し、該当があればリスクアセスメントへ(吸入だけでなく皮膚接触も)
照合の手間は、SDSをアップすれば自動化できます。硬化剤のSDSと主剤のSDSをまとめて診断すれば、どちらに義務対象が入っているかが一度で分かります。
PDFをドラッグ&ドロップするだけ。登録不要で試せます(無料は月3件まで)。
自社で判断しづらいSDSは、先行期間(10月31日まで)は3製品まで無料でこちらで確認します。info@sdscan.jpにPDFを添付してお送りください(PDF化がむずかしい場合は製品名を一言でも構いません)。この確認は判定と同じ情報提供であり、法令適合の保証や法的助言ではありません。
接着剤に入っていがちな他の対象成分
イソシアネート以外にも、接着剤・粘着剤には義務対象の定番成分があります。
お手元のSDSの「3. 組成及び成分情報」と、この表を見比べてください。物質名またはCAS番号が一致し、含有量が裾切値以上なら、義務対象の可能性が高い成分です。
| 物質名 | CAS番号 | SDS裾切値 | 確認ポイント |
|---|---|---|---|
| トルエン | 108-88-3 | 0.1% | 溶剤系(ゴム系等) |
| 酢酸エチル | 141-78-6 | 1% | 溶剤系 |
| MEK | 78-93-3 | 1% | 溶剤系 |
| MDI | 複数 | 0.1% | ウレタン系。主剤・硬化剤両方のSDSを |
| TDI | 複数 | 0.1% | ウレタン系 |
| シアノアクリレート | 7085-85-0 | 1% | 瞬間接着剤 |
| 酢酸ビニル | 108-05-4 | 0.1% | 水性エマルション系。「水性=対象外」ではない |
出典:厚生労働省「労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付等の義務対象物質一覧」(2025年4月1日現在)。裾切値は「SDS交付等に係る裾切値」。※成分例は一般的な傾向であり、該否は個々のSDSの成分・含有量で確認する必要があります。
この表にない成分はリスクアセスメント対象物質一覧(検索可)で調べられます。SDS(PDF)をアップすれば、全リストとの照合を自動で行うこともできます。
PDFをドラッグ&ドロップするだけ。登録不要で試せます(無料は月3件まで)。
自社で判断しづらいSDSは、先行期間(10月31日まで)は3製品まで無料でこちらで確認します。info@sdscan.jpにPDFを添付してお送りください(PDF化がむずかしい場合は製品名を一言でも構いません)。この確認は判定と同じ情報提供であり、法令適合の保証や法的助言ではありません。
塗料側の一覧は塗料のSDS確認ガイド、接着剤全般の手順は接着剤のSDS確認ガイドにまとめています。なお溶剤系のウレタン塗料・接着剤は消防法の危険物(引火性液体)に該当することも多いので、消防法との違いの整理もあわせてどうぞ。
よくある質問
Q. 主剤のSDSで該当なしなら終わり? A. 終わりではありません。イソシアネートは硬化剤側です。硬化剤のSDSを入手して両方照合してください。
Q. 「プレポリマー」表記なら対象外? A. 表記だけでは判断できません。残存モノマーが0.1%以上なら対象です。項目3を確認。
Q. 硬化後は安全? A. リスクの中心は施工中・乾燥中のばく露と、加熱・研磨工程です。「硬化後は安全」と一般化せず、作業単位で評価してください。
まとめ
- TDI・MDI・HDIはラベル・SDS・リスクアセスメント義務の対象、裾切値は0.1%と低い
- 見落としの定番は「硬化剤側のSDS未入手」と「プレポリマー表記の残存モノマー」
- 呼吸器感作性(ぜんそく)のリスクが本質。薄くても積み重ねない管理を
- 主剤・硬化剤のSDSをまとめて無料診断にかければ、照合は一度で終わります
参考(一次情報)
- 厚生労働省「職場のあんぜんサイト」:表示・通知対象物質の一覧・検索(各物質のGHS分類情報・モデルSDSも掲載)
※本記事は情報提供であり、法令適合を保証するものではありません。特別規則(特化則等)・化管法など個別法令の該当は製品SDSの項目15および最新の公的資料で確認し、最終判断は貴社の化学物質管理者・有資格の専門家にご確認ください。
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1件はSDSのPDF 1ファイルです。PDF内のページ数とは別に数えます。
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年間プランを見る →まとめて台帳を作ってもらう
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台帳を作ってもらう →PDFが手元にないときは、SDSの3項の成分名・CAS番号を貼るだけの照合(送信なし)でも同じ判定が出ます。