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シンナーのSDS義務はどう変わった?有機則だけでは足りない2026年対応

「シンナーは有機則(有機溶剤中毒予防規則)で昔からやっている。今さら何を確認するのか」——塗装・印刷の現場で長く化学物質を扱ってきた事業者ほど、こう感じるはずです。

その実績は重要です。ただし2026年4月施行の改正を含む現在の労働安全衛生法の枠組みでは、有機則の遵守と、新しいSDS・リスクアセスメント義務は別物です。この記事では、その関係の整理と、自社のシンナー類の該否を確認する手順を解説します。

※お急ぎの方へ:SDS(PDF)が手元にあれば、成分の照合は無料診断で自動化できます(登録不要・その場で結果)。

有機則と新規制は「別レイヤー」で同時にかかる

混乱しやすいので先に整理します。

つまり、有機則対象のトルエンやキシレンは両方の義務がかかり、有機則の対象外だった溶剤成分が新規制では対象ということが起こります。「有機則を守っている=新規制もクリア」ではありません。

さらに2025年5月公布の改正法で、対象は将来的にGHS分類で危険有害性のある全物質へ広がることが決定済みです。

シンナーこそ「商品名で判定できない」典型例

シンナーは単一物質ではなく混合溶剤です。「ラッカーシンナー」「ウレタンシンナー」「洗浄用シンナー」と呼び名が同じでも、メーカー・グレードごとに配合は異なります。判定はSDSの「3. 組成及び成分情報」で行うしかありません。

シンナー類でよく見る義務対象成分のチェックリスト:

お手元のSDSの「3. 組成及び成分情報」と、この表を見比べてください。物質名またはCAS番号が一致し、含有量が裾切値以上なら、義務対象の可能性が高い成分です。

物質名CAS番号SDS裾切値確認ポイント
トルエン108-88-30.1%溶剤系全般。有機則第2種との二重管理
キシレン複数0.1%エチルベンゼン併含に注意
エチルベンゼン100-41-40.1%キシレン系シンナーに高頻度で含有
酢酸エチル141-78-61%ラッカー系の主成分
酢酸ブチル複数1%ラッカー系の主成分
MEK78-93-31%洗浄兼用の速乾溶剤
ミネラルスピリット64742-47-81%塗料用シンナー・洗浄油の基材

イソプロピルアルコール(IPA、CAS 67-63-0)は現行リストでは対象外ですが、2027年4月1日から義務対象に追加されます(安衛則別表第2)。洗浄用シンナーで使用中なら今のうちに把握を。

出典:厚生労働省「労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付等の義務対象物質一覧」(2025年4月1日現在)。裾切値は「SDS交付等に係る裾切値」。※成分例は一般的な傾向であり、該否は個々のSDSの成分・含有量で確認する必要があります。

この表にない成分は全物質の一覧(検索可)で調べられます。SDS(PDF)をアップすれば、全リストとの照合を自動で行うこともできます。

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注意したいのは、近年増えている「トルエンフリー」「キシレンフリー」を謳う代替シンナーです。置き換えられた溶剤成分が義務対象リストに追加されていることがあり、「フリー=規制対象外」とは限りません。

自社のシンナーを判定する3ステップ

ステップ1:用途別にシンナーを棚卸しし、最新SDSを入手する

希釈用・洗浄用・拭き取り用——用途ごとに違う製品を使っているのが普通です。一斗缶のラベルだけで済ませず、品番ごとに最新版SDSを購入先へ請求します。発行日が2024年より前のSDSは、追加物質が反映されていない可能性が高く要注意です。

ステップ2:成分をCAS番号で義務対象リストと照合する

混合溶剤は成分数が多く、慣用名表記も混ざります。厚生労働省の義務対象物質リストとの照合はCAS登録番号ベースで行ってください。

ステップ3:含有量と裾切値を比較する

物質ごとに定められた裾切値(義務がかかる濃度の下限)と、SDS記載の含有量を比較します。シンナーは主要成分が数十%単位で含まれるため、対象成分があればほぼ該当しますが、微量成分の扱いで判定が分かれることがあります。

なお、この照合(成分名×CAS番号×裾切値、約2,300物質)を自動でやるのがSDScanの無料診断です。SDSのPDFをアップするだけで、対象の可能性を🔴🟡🟢で一覧できます。

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塗装・印刷現場の実務ポイント

よくある質問

Q. 有機溶剤作業主任者がいれば、化学物質管理者は不要ですか? A. 別制度のため、それぞれ必要です。同一人物が両方を担うことは可能ですが、化学物質管理者には所定の要件(リスクアセスメント対象物の製造事業場では専門講習修了など)があります。

Q. 第3種有機溶剤や有機則対象外のシンナーなら、新規制も関係ないですか? A. いいえ。有機則の区分と義務対象物質リストは別物です。有機則対象外の成分が義務対象リストに載っているケースは珍しくありません。

Q. 局所排気装置を設置済みです。リスクアセスメントは省略できますか? A. 省略できません。既存の換気設備は「リスク低減措置が講じられている」という評価材料にはなりますが、アセスメントの実施義務自体は残ります。

まとめ:二重管理の照合負担を自動化する

シンナーの管理は「有機則の区分」「義務対象リスト」「裾切値」「濃度基準値」と参照先が多く、混合溶剤ゆえに成分数も多い——照合負担が最も重い材料のひとつです。

SDScanは、SDSのPDFをアップロードするだけで成分を抽出し、義務対象物質リストとの照合を自動で行います。無料プランで、まず一番使っているシンナーのSDSから試してみてください。

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参考(一次情報)

本記事は2026年6月時点の情報に基づきます。最新の法令は必ず一次情報をご確認ください。

最終更新日:2026-06-10