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切削油・グリスはSDS規制の対象?金属加工の現場が見落とす添加剤の話【2026年改正】

旋盤・マシニング・プレス——金属加工の現場で、切削油やグリスは「材料」というより「設備の一部」のような存在です。だからこそ、化学物質規制の棚卸しから真っ先に漏れます。

しかし労働安全衛生法の義務は、製品が「油」かどうかではなく含有する個々の物質で決まります。2026年4月施行の改正で対象が約2,900物質規模へ拡大した結果、切削油・グリスの添加剤が該当するケースが現実に出てきています。

※お急ぎの方へ:SDS(PDF)が手元にあれば、成分の照合は無料診断で自動化できます(登録不要・その場で結果)。

ベースオイルではなく「添加剤」を見る

切削油・グリスの主成分は鉱油や合成油ですが、性能を決めているのは数%〜十数%の添加剤です。極圧添加剤(塩素系パラフィン等)、防腐・防菌剤、防錆剤・乳化剤——切削油・グリスでよく見る義務対象成分のチェックリスト:

お手元のSDSの「3. 組成及び成分情報」と、この表を見比べてください。物質名またはCAS番号が一致し、含有量が裾切値以上なら、義務対象の可能性が高い成分です。

物質名CAS番号SDS裾切値確認ポイント
DEA111-42-20.1%水溶性切削油の防錆・乳化剤
モノエタノールアミン(MEA)141-43-50.1%同上
ホルムアルデヒド50-00-00.1%防腐剤(放出型)由来
OIT26530-20-10.1%防腐・防菌剤
ヘキサン複数0.1%速乾洗浄タイプの溶剤分

出典:厚生労働省「労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付等の義務対象物質一覧」(2025年4月1日現在)。裾切値は「SDS交付等に係る裾切値」。※成分例は一般的な傾向であり、該否は個々のSDSの成分・含有量で確認する必要があります。

この表にない成分は全物質の一覧(検索可)で調べられます。SDS(PDF)をアップすれば、全リストとの照合を自動で行うこともできます。

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特に**水溶性切削油(クーラント)**は、希釈・循環使用するため防腐剤・防錆剤が必須で、この添加剤群に近年の追加対象物質が含まれやすい構造があります。「油だから関係ない」がいちばん危ない材料です。

2026年改正:対象は約2,900物質規模、さらに全物質へ

ラベル・SDS・リスクアセスメントの義務対象は674物質から段階的に拡大し、2026年4月には約2,900物質規模に達しました。2025年5月公布の改正法では、将来的にGHS分類で危険有害性が確認された全物質への拡大も決定済みです。

切削油はモデルチェンジが少なく「10年同じ銘柄」が普通の世界ですが、製品が変わらなくてもリスト側が毎年変わる——これが確認を繰り返す必要がある理由です。

自社の切削油・グリスを判定する3ステップ

ステップ1:油剤類を棚卸しして最新SDSを入手する

切削油・研削液・グリス・作動油・防錆油まで、機械周りの油剤をリスト化し、品番ごとに最新版SDSを購入先へ請求します。長年使っている銘柄ほどSDSが古いまま放置されがちです。発行日が2024年より前なら更新版を請求してください。

ステップ2:成分をCAS番号で義務対象リストと照合する

SDS「3. 組成及び成分情報」の各成分を、厚生労働省のラベル・SDS義務対象物質リストとCAS登録番号で突き合わせます。油剤のSDSは「添加剤(企業秘密)」のような包括表記が混ざることがあり、その場合はメーカーに義務対象物質の含有有無を確認します。

ステップ3:含有量と裾切値を比較する

対象成分が見つかったら、含有量を物質ごとの裾切値(義務がかかる濃度の下限)と比較します。添加剤は数%の含有が多いため、裾切値次第で該否が分かれる——切削油はまさに「裾切値判定が結果を左右する」材料です。なお水溶性切削油の該否判定は、現場での希釈後ではなくSDS記載の原液濃度で行います。

なお、この照合(成分名×CAS番号×裾切値、約2,300物質)を自動でやるのがSDScanの無料診断です。SDSのPDFをアップするだけで、対象の可能性を🔴🟡🟢で一覧できます。

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金属加工現場の実務ポイント

よくある質問

Q. 切削油は飛散しないよう管理しています。それでもリスクアセスメントが必要ですか? A. 対象物質を裾切値以上含むなら必要です。既存の飛散対策は「リスク低減措置が講じられている」という評価材料になりますが、実施義務そのものは残ります。

Q. グリスは密閉部に充填するだけです。対象になりますか? A. 成分が義務対象なら該当し得ます。充填作業時の皮膚接触や、高温部での分解ガスなど、作業実態に即して評価します。ばく露が極小ならアセスメント結果も簡素になります。

Q. 廃油の処理も今回の規制に含まれますか? A. 廃棄物処理自体は廃掃法の領域ですが、廃油の回収・移し替え作業で労働者がばく露する場面は労働安全衛生法のリスクアセスメント対象になり得ます。

まとめ:「変わらない油」と「毎年変わるリスト」のギャップを埋める

切削油・グリスは製品側が変わらないぶん、リスト側の更新に気づきにくい材料です。数十品目の油剤SDSを毎年リストと照合し直す作業を人手で続けるのは、現場の負担として現実的ではありません。

SDScanは、SDSのPDFをアップロードするだけで成分を抽出し、最新の義務対象物質リストと自動照合します。無料プランで、まず一番量を使っているクーラントのSDSから試してみてください。

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参考(一次情報)

本記事は2026年6月時点の情報に基づきます。最新の法令は必ず一次情報をご確認ください。

最終更新日:2026-06-10