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公開されているSDS 500件を調べた——2026年4月の追加物質、15項に書かれていたのは4割

2026年4月1日、労働安全衛生法のラベル表示・SDS交付の義務対象物質に、約780物質が追加されました。プロパンやジメチルエーテル(スプレーの噴射剤)、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(洗剤のキレート剤)のように、身近な製品に入っている成分も含まれます。

では、世の中に出回っているSDSは、この追加にどこまで追いついているのでしょうか。メーカーや販売店がウェブで公開しているSDSを500件集めて、1件ずつ照合してみました。

先に結論です。

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自社で判断しづらいSDSは、先行期間(10月31日まで)は3製品まで無料でこちらで確認します。info@sdscan.jpにPDFを添付してお送りください(PDF化がむずかしい場合は製品名を一言でも構いません)。この確認は判定と同じ情報提供であり、法令適合の保証や法的助言ではありません。

調べ方

項目内容
時期2026年9月16日〜19日
対象ウェブでSDSのPDFを誰でも取得できる23社の、日本語のSDS 500件(業務用洗剤・ワックス、エアゾール製品、整備用ケミカル、探傷剤、塗料、グリースなど)。うち3件は、同じ文書が別のURLに載っていたもの
照合先厚生労働省「労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付等の義務対象物質一覧(令和8年4月1日時点施行分)」のうち、令和8年4月1日から追加と注記された物質
数え方3項の成分のCAS番号が一覧と一致し、含有量が裾切値(SDS交付等の列)以上と読めたものだけを「追加物質を含む」と数えた。「1%未満」のように裾切値をまたぐ表記や、含有量が読めないものは数えていない
15項の見方15項のうち労働安全衛生法に属する部分を、欄の終わりまで読み、その物質の名称(別名を含む)が出てくるかを見た。機械で照合したあと、「記載なし」とした行は15項の原文を読んで確かめ、さらに別の目で全行を見直した

数え方は控えめにしてあります。物質名が労働安全衛生法の欄のどこかに出ていれば、表示・通知対象物の列でなくても「書かれている」に入れました。条文を引用するだけで物質名を並べていない様式のSDSは、「判定できず」に回しています。

結果1: 追加物質を含むSDSの4割しか、15項に書かれていなかった

件数割合
調べたSDS500件(23社)
うち、2026年4月の追加物質を裾切値以上含むもの126件(12社)100%
 15項にその物質がすべて書かれていた53件42%
 書かれていない物質があった65件52%
 判定できず(物質名を並べない様式、成分名とCASの食い違いなど)8件6%

対象の126件のうち52件は1社のものです。この会社を除いても、74件のうち書かれていたのは35件(47%)、抜けがあったのは32件(43%)で、全体の傾向は変わりませんでした。

結果2: 改訂日だけでは分からない

SDSの版対象すべて書かれていた抜けがあった
2026年4月1日以降に改訂・作成53件21件(40%)29件(55%)
2026年4月1日より前の版73件32件(44%)36件(49%)

施行の後に改訂されているのに抜けがあるSDSが、29件ありました。ただし、この53件のうち48件、抜けのあった29件はすべて同じ1社のSDSです。ほかの会社は施行後の版が5件しかなく、抜けは見つかっていません。「施行後の版の半分に抜けがある」と一般化はできませんが、改訂したのに書き足されていない例がまとまって存在する、ということは言えます。

この会社では、同じ日に改訂された製品群のなかで、プロパンが書かれている製品と書かれていない製品が混ざっていました。15項は製品ごとに手で書き足すことが多く、書き漏れが起きやすいのだと考えられます(推測です)。

一方、施行前の版でも32件には追加物質が書かれていました。そのうち31件(5社)は、15項に「令和8年4月1日より」「2026年4月1日以降」「令和8年施行分」といった注記をつけた先取りです(残る1件は、危険物の欄に物質名が出ていたものです)。

公開されているSDS全体を見ると、改訂日・作成日を読み取れた495件のうち、2026年4月1日以降のものは67件(14%)で、その大半(55件)は上の1社です。2023年以前の版が219件(44%)を占めていました。

結果3: 抜けやすいのは、噴射剤・キレート剤・溶剤

追加物質ごとに、15項の労働安全衛生法の欄に物質名が書かれていた件数(記載あり)と、書かれていなかった件数(記載なし)を並べます(3件以上出てきたもの。SDS×物質で数えています)。

物質(一覧上の名称)と、よく入っている製品含むSDS記載あり記載なし判定できず
プロパン
スプレーの噴射剤(LPG)など
4022171
ジメチルエーテル
スプレーの噴射剤(DME)
248160
エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム
洗剤のキレート剤(EDTA)
15780
酢酸1-メトキシ-2-プロピル
コーティング剤の溶剤(PGMEA)
11290
二酸化炭素
スプレーの噴射剤(炭酸ガス)
8170
ナトリウム=1,4-ビス[(2-エチルヘキシル)オキシ]-1,4-ジオキソブタン-2-スルホナート
床用ワックス・洗剤の界面活性剤
7700
N,N-ジメチルドデシルアミン=N-オキシド
洗剤・ガス漏れ検査液の界面活性剤(アミンオキシド)
4031
3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール
洗浄剤・コーティング剤の溶剤
4400
亜鉛
ろう材(合金の成分)
3030
メチルジエタノールアミン
剥離剤
3030
スルファミン酸
トイレ・浴室用の洗浄剤
3300
ニトリロ三酢酸三ナトリウム
洗剤のキレート剤(NTA)
3012
亜塩素酸ナトリウム
カビ取り剤・漂白剤
3003

書かれていなかった件数は、1社に偏っている物質があります。ジメチルエーテルは16件中14件、二酸化炭素は7件中7件、酢酸1-メトキシ-2-プロピルは9件中8件が、対象SDSの最も多い1社のものです。プロパン(5社にまたがる)とエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(2社)は、偏りが小さい物質です。

目立つのは、製品の中身(原液)とは別に扱われがちな成分です。噴射剤(プロパン・ジメチルエーテル・炭酸ガス)は、缶の中では大きな割合を占めるのに、原液とは別の「ガス」として扱われ、法令の確認から漏れやすいようです(推測です)。キレート剤や界面活性剤のように数%しか入っていない添加剤も、同じように抜けていました。

炭酸ガスを噴射剤に使った製品では、労働安全衛生法の欄そのものが「該当しない」となっているSDSが4件ありました。3項を見るかぎり、炭酸ガスのほかに、名前の分かる対象物質が見当たらない製品です。今回の追加で初めて対象になった製品は、15項を「該当しない」のまま残しやすいようです(推測です)。

もうひとつ、件数は少ないものの気になったのが、成分名とCAS番号の食い違いです。成分名は「次亜塩素酸ナトリウム」なのにCAS番号は亜塩素酸ナトリウムのもの、成分名は一水和物なのにCAS番号は無水物のもの、という例が5件ありました。どちらが正しいかで、対象になる時期が1年変わります(亜塩素酸ナトリウムは2026年4月から、次亜塩素酸ナトリウムは2027年4月から)。

結果4: きちんと更新している会社でも、1件残ることがある

追加物質を含むSDSがあった12社のうち、1件以上の抜けがあったのは9社、抜けが見つからなかったのは3社でした。抜けのあった9社のうち3社は、抜けが1件だけです。ほかの製品には書き足してあるのに、1製品だけ書き足されていない、という形でした。

製品が何十とある会社では、改訂の一巡で1件も取りこぼさないのは難しい、ということだと思います。

使う側がやること

SDSを受け取って使う側(工場・整備・清掃などの事業者)は、次の順で確かめられます。

  1. 改訂日を見る — 1ページ目の作成日・改訂日を確認します。ただし上のとおり、日付だけでは判断できません。
  2. 15項ではなく3項で照合する — 対象になるかどうかは、製品に含まれる成分と含有量で決まります。3項の成分名・CAS番号・含有量を、義務対象物質の一覧と裾切値に照らしてください(3項の読み方)。15項に書いていなくても、3項の成分が対象物質で裾切値以上なら、原則としてSDS交付やリスクアセスメントの対象になります(ラベル表示は、ラベル表示の裾切値で見ます。物質によってはSDS交付の裾切値と違います)。
  3. 古い版なら最新版を請求する — 追加物質を含むのに15項に出ていない製品は、購入先に最新版を請求します(請求文のテンプレート)。届くまでの間も、3項の成分で照合は進められます。

枚数が少なければ、成分を貼り付けて照合するか、PDFを無料診断にかければ、その場で確かめられます。

整理したいSDSは何件ありますか?

1件はSDSのPDF 1ファイルです。PDF内のページ数とは別に数えます。

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PDFが手元にないときは、SDSの3項の成分名・CAS番号を貼るだけの照合(送信なし)でも同じ判定が出ます。

作る側(メーカー・輸入販売)へ

自社のSDSを見直すときは、次の3点を先に当たると効率がよいはずです。

通知した事項に変更が生じたときは、変更後の内容を速やかに相手方へ通知するよう努めることとされています(労働安全衛生法第57条の2第2項)。

この調査の限界

まとめ

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最終更新日:2026-09-19